最高裁判所第二小法廷 昭和41年(オ)204号 判決 1969年3月28日
上告人 川畑喜積
被上告人 国
訴訟代理人 岩佐善巳 外一名
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人中嶋正起の上告理由第一点および第二点について。
本件示談契約(甲六号証)によつて、渡辺すいは上告人に対する損害賠償請求権中自動車損害賠償補償法に基づく金三〇万円の賠償請求権をこえる部分につき放棄したものではないと認めるのが相当である旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯できる。そして、右認定の過程において採証法則違背、経験則違背も認められない。引用の判例は本件に適切でない。原判決には所論の違法はなく、論旨は採用できない。
同第三点について。
上告人が、自動車損害賠償保障法による賠償金三〇万円をもつて、被上告人が渡辺すいに対する保険給付をすることによつて取得した渡辺すいの上告人に対する七二四、八五一円の損害賠償請求権の債務に充当したことを認めることができない旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯できる。原判決には所論の違法はない。論旨は採用できない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判官 城戸芳彦 色川幸太郎 村上朝一)
上告理由<省略>